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「人質になっているのがだれなのか教えてくれ。みんな一緒に幸せになろうじゃないか」
テッセラはゆっくりと刀を下ろしていく。自分自身が下すことで、相手に自分は攻撃する意思がないことを示す。ただ、頭領はそれを不穏な動きと見たようだ。
「いや、だめだ。信用できない。やるぞ」
ただ頭領が決断したからと言って、部下の山賊たちがついては来ない。
「どうした、お前ら。政府が怖くないのか」
「政府は怖いさ、とてもな。だが、今、目の前で逃げれるチャンスがあるなら、そっちに賭けるのも一手じゃないか?」
山賊の一人がそう言いながら、手に持っていた刀を投げ捨てる。それを見て、ほかの数人も続いた。




