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369.
「さて、どうしようかな……」
岩屋はずっと考えつつ、結局いい手が浮かばなかった。そこで、座っていると、誰かがノックをする。
「どうぞ」
「入りますよ」
その人は、奉王将軍だった。
「どうしたんですか」
「退屈しているだろうと思いまして、ね」
15cmの直方体を小脇に抱え、彼女は言った。実際のところ、脱出計画を練っているおかげで、退屈はしていないわけである。だが、ここではちょうど良かったと岩屋は答えた。
「ところで、何を持ってきて下さったのですか」
「ああ、ラジオですよ」




