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「うぉっと」
刃は、最小限の体幹の移動で避けた岩屋の数ミリ前を通り抜ける。前のめりになるベルムを、その腕をつかみ、一気に制圧する。
「何のつもりだ」
「……テストだよ」
小刀はそのまま床へと突き刺さり、ベルムはそれでも平然とした声で答えた。
「テストだとしても、本気じゃなかったか?」
パッと手を離すと、やれやれといった表情をしながら、ベルムは服のしわをパンパンと伸ばした。
「本気でしなければ、テストの意味がないだろう」
言いながら、なにか納得したようでベルムは部屋の壁際にある机といすのところへと歩いていった。




