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「ただいま参りました」
部屋へ入るなり護送兵は最敬礼で岩屋と奉王将軍に挨拶をする。その光景を見て、岩屋は驚いた。
「君は話せないのではないのか」
「話せない、とは一言も伝えておりません。ただ奉執将軍閣下が、そのように受け取られただけでございましょう」
護送兵は改めて、話し出す。
「申し遅れました。わたくしは、重護送兵部門長を務めております、クラックと申します。以後、閣下の世話をするようにと、王将軍より仰せつかっております」
「ま、そういうことだ」
奉王将軍は、岩屋へ笑顔で話す。




