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「なあ、誰も買わずに去っていくよりも、ちょっとだけ、気持ち引いてくれて買っていった方が、店の利益にもなると思わないか」
店主はそこまで言われて、決断をしたようだ。ため息をつきながらも、岩屋から受け取ったお金をギュッと握った。
「負けたよ、あんた値引きが強いね」
「こらどうも、昔ちょっとしててね」
言いながら服のポケットへと魚の素焼きをしまいこんだ。
「ねえ、ついでだから何か買っていかないか。他にも色々とあるんだよ」
「色々とあるだろうけども、今はやめておくよ。次の機会にとっておくさ」
岩屋は笑いかけながら、丁重に誘いを断った。
