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「さて、このお茶、貴方はおそらくは、毒が入っているとでも思っていたのでしょう」
岩屋の心を見透かすように、奉王将軍は話す。今度は執務机の椅子に座るのではなく、岩屋とすぐ対面できるようにセットされたパイプ椅子のようなものに座った。
「ええ、何があるかわからないので」
平常心と心の中で唱えつつ、岩屋はどうにか音を出した。なんとはなく、それは声となって奉王将軍へ伝わったようだ。
「それに、ここに来る間、護送兵にひたすら話しかけたようですね」
その通りだと、岩屋は認めた。奉王将軍は、部屋の隅で侍していた部下に岩屋の担当であった護送兵を呼んでくるように命じた。




