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「まあまあまあ、これでも見ていきなさいって」
そういうと老婆はずかずかと店の敷地へと入ってきて、机の上へと何かを置く。そして、懐から何かを取り出す。それは革の袋だった。何の動物の革なのかは見た目だけでは判別できない。こげ茶色よりもさらに黒よりの色をしているソレは、長年使われているようで、かなりくたびれているようだった。
「しかし、今日はよく月が見えると思いませんか」
言いながらも、袋から取り出してきたのは何かのコインだ。だが今使われている貨幣ではない。それをまっすぐ一直線に並べる。




