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「ともかくだ、これで全員そろったわけだ。今日の宿を決めて早々に寝ることにしよう」
コーヒーのようなものを飲んで、岩屋は宣言をする。とはいうものの、今のところ、めぼしい宿の目標もなく、単純に屋根壁があればいいかというのも、ひとつの案としてあるほどだった。
「お客さん、お客さん。面白い話を聞かんかね」
にこやかに街道から声をかけてくる老婆に気づいたのは、そんなところだった。風体といえばちんどん屋を一人に集めて3倍濃くしたかのような印象がある。目立つといえばとんでもなく目立つ。




