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「反乱の兆しがないというのは、とても結構なことですね」
「ええ、枕を高くして寝れますので」
岩屋はそう言って、奉王将軍に思い切って尋ねた。
「ところで、ここに俺を連れてきた理由を、また聞いていませんでしたね」
「あら、そうでしたっけね」
そうですよ、と岩屋が言うと、ハハハと岩屋は笑った。それにつられるようにして、フフっと奉王将軍も笑う。
「あなたをここに呼んだのは、特に理由はないわ」
「逮捕、ということにしたことについては?」
「そうでもしないと、貴方は何かにつけてここに来ることを拒むでしょ。その手間を省きたかったのよ」
ニコッとしている奉王将軍に対して、岩屋は何かはぐらかしているような印象を受けている。だが、それが何かの答えは分からない。




