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「そうですね。その通りだ」
岩屋は試し斬りをしたいと思って周囲を見るが、切れそうなものといえば人間しかいない。となれば今回は諦めるのが吉というものなのだろう。
「あなた方には、ちょっと商売人となっていただきたいのです」
「商売といって、売り買いできるものなんて喧嘩ぐらいなものだ。何をしてほしいんだ」
岩屋は鞘へと剣を戻し、改めて山の上へと静かに置いた。
「我々の仲間は、この領土全域あちこちにおります。しかしながら、それも一部脅かされている者もおりますのが実情。そこで、そういう仲間を助けていただきたいのです。ただ普通に浪人として彷徨うだけでは、政府から狙われてしまう。そこで、我々のように、小物売りとして仲間と連絡をとっていただきたいのです」




