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「面白いことを言いますね」
サラマンドラが、微笑みながら言う。その言葉は、一切の怒気を含んでいない。まるで、おばあちゃんが孫にやさしく諭すかのような口調だ。
「ええ、そうおっしゃられるでしょう。なにも、今すぐ欲しい、というわけではないです。でも、できればこの場でいただきたいと思っています」
モルスが言っているその気持ちに、嘘は全くなかった。だからこそ、サラマンドラも正直に答えている。
「いいでしょう。でも、条件があります」
「飲めるかは、保証しかねます。ですが、伺いましょう」
モルスがサラマンドラからの条件を、朗らかな口調でたずねていた。




