334/4168
333.
「よう、同室か」
モルスは、当時、死神と恐れられた殺人者であった。だが、立件されることは何一つなく、全て証拠不十分で保釈されることが決まっていた。拘留期限は半年後。つまり、スルーと同時に出所予定だ。
「しかし、お上も大変だなぁ。こんな子供まで捕まえるとはな」
「……うるさい」
スルーは、ぶすっとした表情で、ベッドで片足を抱きかかえるように座っていた。そのすぐ横に、モルスは、座ると、優しい声で話しかけていく。
「どうしたんだ。ん?話してみないか」
何かあれば、外に出てからになるが力になってやると、モルスは請け負った。それを聞いて、スルーは、ゆっくりであるが自身の話をはじめた。




