322/4171
321.
そして、何事もなく、岩屋たちはその内部にいた警備員に案内され、執務室までやってきた。コン、コン、コンとリズミカルにドアをノックすると、扉の向こうから、どうぞというくぐもった声が聞こえる。
「失礼いたします。奉執将軍閣下が参られました」
「入っていただけ」
失礼いたします、ともう一度警備員はいうとドアを開けた。
とても整理された、というより机とソファだけというシンプルすぎる部屋の中央、ソファに挟まれた位置に奉豪将軍は立っていた。その一歩後ろには首席部下もいる。岩屋は部屋の中まで入ると警戒していた兵たちに銃を下ろさせた。武器類を持っていないということを示すため、奉豪将軍と首席部下は手を挙げていたのだ。




