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285.
「分かりました」
ヒカイロネは結論を出したようだ。岩屋はどのような答えがくるか、待ち構えている。
「……明日、返事をするということでよろしいでしょうか」
「ああ、いいとも。では、明日執務室で、シャホールの進捗報告と一緒に聞く事にしよう」
「分かりました。では、これで失礼します」
壁際で立っていた従兵を連れ、ヒカイロネは岩屋たちの前から歩き去った。それを見ながら、ゴアフラが岩屋につぶやいた。
「彼女、明日までに結論を出すでしょうか?」
「さあな。僕は彼女を信じて、ここまで一緒にやってきた。だから、今回も彼女を信じるさ」
壁の向こうで見えないはずのヒカイロネを、岩屋は、ずっと見続けていた。




