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ライタントは、その岩屋の気迫に押されたのか、何も言わない。そこで、岩屋はさらに話し続けていく。
「いいかい、僕がサザキを復活させるということは、誰もが知っている。ラジオで大演説をぶったからな。だから、それはしなければならないことなんだ。その一方で、僕らが神の領域を犯すという罪も存在する。その罪は、僕が一身に背負っていく覚悟だ。君たちは、それを考えないで良い。そして、サザキを、この手でもう一度抱きしめたいのだよ。もう一度、愛娘たるサザキと一緒にいたいのだよ」
「……分かりました。では、こちらも全力を出しましょう」
ライタントの震えは、すでに止まっていた。




