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273.
「どうしたんだ」
岩屋はライタントに尋ねた。わずかになぜ震えているかが気になったからだ。
「いえ、実は……」
部屋の中、さらには外をわざわざ扉を開けてみる。ライタントは誰も聞いていないことを確認してから、岩屋へとその胸中を語った。
「サザキが復活するとしても、それは本当のサザキではないので、どう接するべきなのか分からないのです」
「なるほどな」
岩屋は考える。確かにそうだ、ライタントの話にも一理ある。そもそも、一度死んだサザキを復活させるということ自体、エゴではないのかと。




