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267.

 省城の入り口へ入った時、岩屋たちはゆっくりと進まざるを得なくなった。省城の住民たちが、大歓迎で道を埋め尽くしているためだ。馬はゆっくりとした歩みを続け、周囲では熱狂とも言うべき歓迎をしている。互いの会話もままならないほどの騒ぎだ。

「誰か、聞きたいことがあるっ」

 岩屋はその騒ぎの中で叫ぶ。とたんに水を打ったように静まり返った。誰も声を上げず、風ですら息をひそめているような状況だ。熱気は今だあるが、それもわずかに揺らいでいる。

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