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266.
手紙を受け取ったライタントは読み終わると、その手紙を岩屋へと返す。
「末端の民は、少なくとも今のところは、あなたを歓迎しているようですね」
「そのようだな」
手紙を再び懐へと入れる岩屋。その手紙は、留まった里の長であるあの老人が記したものであった。その内容は、現在の圧政からの解放者を歓迎するという内容の文言と、善政の噂は聞いているので頑張ってほしいということが書かれていた。
「……この通りにしなければな」
「はい」
ライタントは、岩屋の言葉に静かにうなづいた。木々が、爽やかに音を立てつつ揺れていた。
 




