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岩屋は、すでに関所において歓呼の声で出迎えられていた。
「万歳!万歳!」
なにやらこのまま行けば、提灯行列でもしかねない雰囲気だ。それを抑えつつ、岩屋はさらに先を進む。
「……奉勝将軍は、どうやら人心の掌握には失敗しているようだな」
「その様子ですね。それは、スパイの報告とも一致しています」
先を急いでいる岩屋戸ライタントは、後続の兵と共に、道を歩いている。歩きながらも、馬上で会話をすることができているほど、何もないのだ。これでは、シャホールの実地検証ができないではないか、そう考えつつも、岩屋は、このまま戦闘が何もなければいいのにと、相反する考えを持っていた。




