250/4167
249.
カキン、と金属音が鳴り響き、銃口から銃床までをみごとに3等分され、打とうとしていた人物の手首ごと、ゴトッと床へと落ちた。
「確保っ」
兵の誰かの声が聞こえる。岩屋はそれをはっきりと知覚する頃、ようやく状況が頭に入ってきた。
「こいつの手当てをして、それから尋問だ」
岩屋は、それを聞いて驚いている周囲の人たちをさしおいて、テロリストへと近寄り、一つだけ聞いた。
「これだけ聞こう。お前は奉勝将軍の領域から来たのか?」
テロリストは、何も答えない。代わりに舌打ちをしつつ、顔を背けた。どうやら岩屋暗殺に失敗したことを悔やんでいるようだ。
「そうか」
だが、岩屋にとっては十分な成果だったようだ。連れてけと命じながらも、ライタントへと言い切った。
「僕も行こう。こう正面切ってケンカを売られたんだ。買わないと失礼だろう」
もはや、ライタントが何を言っても聞かないだろう。それを感じ取ったライタントは、わずかなため息とともに、分かりましたと答えた。




