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コン、コン、コン。と3回連続で執務室のドアはノックされた。どうぞ、と岩屋が別の報告書や稟議書の決裁をしているさなか、ライタントがシャホール開発の総責任者であるヒカイロネを連れてきた。
「いかがしました?」
ヒカイロネは、すぐに岩屋の机の前へと歩み寄り、心配そうに声を上げる。ライタントは、どうやらここに連れてきた理由を話していないようだ。そもそも岩屋は話していないので、それを言えるわけがないか、そう岩屋が思いなおし、ヒカイロネが出した報告書の一文を読みあげる。
「…シャホールの未来は明るく、人類は良きパートナーとなることができるであろう。これはどういう趣旨だ?」
岩屋は、前置き無しに、すぐにヒカイロネへと尋ねる。




