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さらに半月。スパイとなった精鋭たちは、目的の場所に落ち着いたようだ。その報告が連絡員から岩屋の手元に上がってくると、岩屋は指令を出した。それが、発動するのは選挙後のことだ。それまで、彼らはじっと息をひそめている。
しかし、スパイが入りこんでいるのは、奉勝将軍領だけではない。当然、岩屋のおひざ元、奉執将軍領のそれも省城の中にいるのだ。岩屋は、まだそれに気づいていなかった。それもそうだろう。岩屋のスパイと同様に、他将軍のスパイも、息をひそめて事が起こるまで待っているのだから。それは、不思議にも選挙の時となっていた。




