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岩屋の作戦は、今後の他将軍領への攻勢を考えているための、第一歩だ。奉勝将軍がこちらがわを常に狙っているという情報を得ている岩屋は、先んじて攻撃を行うための準備段階として、彼らを潜入させようというのだ。いわば、スパイの役割を持たせようとしていると言える。
彼らは、その命すら捨てる覚悟で、奉勝将軍領へと入ろうとしているのだ。そのため、岩屋はできるだけのバックアップ体制をとらせることにしていた。
「君たちは、これから行う向こうでは違法の行為だ。だが、君たちにはそれをしてもらわなければならない。何かあれば、こちらの連絡員に伝えてくれ。できるだけのことをしよう。それでは、行ってきてくれ」
全員、岩屋と敬礼を交わし、そして、音も立てずに執務室から出て行った。




