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214.
「民が苦しんでいるのだ。それを救わなくてどうする」
「それが、人を殺すことになってもですか」
部下がなおも食らいつく。
「そうだ」
あっさりと岩屋は言ってのける。外の兵たちが、ドンドンドンと激しく執務室のドアを叩き、部屋の中に飛び込んできた。
「奉執将軍閣下、大丈夫です、か……」
死んでいるラグを見て、一斉に息をのむ。そして、岩屋が持っている拳銃を見つけると、誰かが叫び出した。
「し、新奉葎将軍閣下、万歳!」
それに合わせて、周りも一斉に万歳、万歳と合唱をはじめた。




