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「そうだ。やはりと言ったが、自覚はあるわけだな」
「ええ、あなたがここまで来るほどなのでね」
岩屋の話を聞いてからラグは、ゆっくりと立ち上がる。指を体の後ろで組みながら、机から回り込むようにして岩屋の目の前へと歩いてきた。
「それで、私に辞めてほしいと。ふさわしくないから」
「そういうことだ。僕が任命したのだから、僕が君を辞めさせる」
そのことを聞いたラグは、突然声をあげて笑いだした。
「何がおかしい」
「あなたが私を任命した?まさか。私を任命したのは、奉王将軍その人ですよ」
「そうだな」
だが、といい、岩屋もラグに立ち向かうように立ちあがった。




