197/4162
196.
村の中央広場は、10メートルほどの円形をしている。そのうち、半分ほどの面積で、なにやら物が燃えている。
「どうしたんだ」
大慌てで、バケツリレーをしながら、火を消している村人の一人にライタントが下馬しながら尋ねる。リレーをする手を止めることなく、ライタントの方向を見ることもなく、かなり早口で説明をした。
「どうもこうもないよ、もうすぐ祭りで、その準備をしていたら、そのやぐらが燃えだしたんだよ。これで1年の準備がパァさ」
「我々も手伝わなければならない」
岩屋はすでに下馬をして、水バケツを持っていた。さあ、と言わんばかりに一行をならばさせ、バケツリレーに参加する。馬は、近くの家の傍に止めさせてもらった。




