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「ろくでもない方?」
「そうですっ」
こらと、横から怒られるが、岩屋はその怒れる手を制止した。
「どういうことだ」
岩屋が興味津々で尋ねる。すると、堰を切ったように、どんどんと話が湧きでてきた。それらの話を聞いて、岩屋は、自身の判断が間違っていたのではないかと心配になってきていた。奉葎将軍としてラグをその位に就けたのは、岩屋の判断であるところが大きいためだ。
「そうか、さまざまな不満があるということだな」
「そういうことです」
「いかがいたしますか、奉葎将軍にこれらを伝えるということは……」
ライタントが何やら聞きにくそうにしている。それもそうだ。岩屋は、なにやら不満げな顔つきをしていた。自身の判断を、ここにきてほとんど初めて疑うことになっているからだ。




