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みんなの道具を借りうけて、岩屋がその場で作ったのは、丈夫な紐と、それをくくりつけた弓矢だ。
「いいか、これを使って、まずは向こうに紐を通す。1人だけが最初に向こうにわたり、これをもとにして橋をかけ始めていく。そういうことだ」
「では、これをお前に託す」
岩屋が説明を終えて、弓をライタントに黙って渡すと、ライタントが弓手にそれを渡した。
「いいか、向こうの木のどれかに刺さればよい。失敗しても、次の矢はある。安心して行うがよい」
「はい、閣下」
そして、弓手がギリギリとつがえると、ヒョウと風切り音がした。




