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岩屋がサザキ復活のためにしていることは、彼女の毛髪から体を復元するという作業だ。今のこの世界の状況では、生命科学はほぼ存在しない。ぎりぎり、けがを治すためにペニシリンによく似た物がある程度だ。ここから本来であれば長い時間をかけて発展をするのであろうが、岩屋の生きている間にそれがなされるかどうかは分からない。そのため、自力で時の針を動かすことにしたのだ。
岩屋の研究室は、今や、この世界にあらざる科学の集積地となりつつある。それは、上の階にある2つの研究部会と変わりはないが、それ以上の発展差がある。




