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しかしながら、当の岩屋は、軍団を作ろうとは、この時点では考えていなかった。サザキをよみがえらせるというのが目的となっているからだ。だが、この有用性に目をつけた人は、当然、岩屋のそばにもいた。それが、ゴアフラだった。
「軍を作るのか」
岩屋は、奉執将軍の執務室で、ゴアフラと会っていた。すぐ横にはライタントもいた。岩屋はゴアフラに思わず聞き返す。
「はい、将軍さんならすでに気付いているとは思いますが」
「一考に値する事柄ではあるだろう。だが、それが実現するかどうかは別次元の話だ」
「では……」
岩屋はゴアフラの言葉を遮るようにして、さらに言葉をつなぐ。
「まずは研究を続けてもらいたい。計画通りに、それ以上の速さでことは進んでいる。だから、君にも頑張ってほしいんだよ。何かあれば、僕の方から言うから」
「……分かりました」
何か不承な顔つきではあるが、ゴアフラは大人しく引き下がった。




