1433/4340
1432.
「敵側は何かあったか」
工兵参謀の質問に、掘削隊長は首を左右に振った。しかし、とそれに続ける。
「おそらくは敵方は我々の動きに気づいていることでしょう。すでに丘は越えておりますが、その騒音が地下を通して響いてきています」
「どうやって観測しているんだ」
聞く工兵参謀に、掘削隊長が指をさして壁際へと案内した。そこでは、一人が漏斗状の金属のものを使い、太くなっているほうを土留めされた壁に、細くなっているほうを耳に当てていた。
「このようにしております。これにより、土の向こうの音を聞くことができます」
ぼやけていようが、聞こえないよりかははるかにましだ。何か動きがあるというだけでも、十分な敵方の兆候となる。




