136.
全ての行程を終え、やっと岩屋は奉執将軍の直城へと戻ってきた。それから、岩屋は休むことなくライタントから、いなかった間の報告を受けていた。
「……以上が、おられなかった間に起こった出来事です。いかがでしょうか」
ライタントは、ラグの奉葎将軍用の報告と、岩屋の奉執将軍用の報告を、同じ執務室内でした。奉執将軍の執務室は、今はラグ、岩屋、そしてライタントの3人しかおらず、他に聞いているという人はいなかった。
「特になし、そういうことか」
「そうです。日々起きるであろう事件、窃盗や強盗団、あとは予算の話ぐらいです」
報告書を一通り読み終わり、その上で報告をライタントから受けていた岩屋は、やっとここで一息つくことができた。これからは奉執将軍として動くことになるだろうが、それはこれから考えればいいこと。それ故に、岩屋はライタントに命じた。
「ではライタントさん。これから僕は寝ます。起きてから、事務引き継ぎをしてほしい。いいね」
「ええ、私はそれで結構です」
それからライタントは、ゆっくりと視線を動かしてラグへ向いた。
「自分は、この場で奉葎将軍として復帰します。よろしいですね」
「いいだろう。許可する」
そのため、ラグはライタントから一切の権限を受け取った。
こうして、長かった将軍即位に関する儀式は終わった。だが、岩屋の野望は、これでようやく着手できるという段階であった。




