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「お楽しみいただいていますか」
ラグと岩屋に、奉王将軍が語りかけた。
「ええ、とても楽しんでいますよ」
岩屋が答える。目の前では、どんどんと焼き上がっていく羊と牛がいる。それぞれ2頭。奉執将軍用と奉葎将軍用である。ラグは、物珍しそうに、その焼き上がっていく様を見ている。だが、岩屋は、焼かれて行くその光景にさほど興味がないようだ。
「奉王将軍、あれらの肉はどうなるのでしょうか」
「生贄となった羊と牛の肉は、その一部分がまず貴方方へ献上されます。それを貴方方がしっかりと食べてから、人々へ広くふるまわれます。無料です」
「ほう、無料」
「ええ、将軍ともなる方の懐が広く、徳をしらしめるという意味合いがあるので」
奉王将軍は、にこやかに話し続けた。




