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「なるほど、そんなことがあったんですね」
「そうです」
岩屋は、静かに話を切り上げる。ラグは、この間、一言も発していない。
「息子は、まだ小さく、サザキを知らないんです」
「そうですか」
岩屋は、さほど興味なさそうに答えている。岩屋にとってはサザキが唯一無二の存在だからということもあるだろう。しかし、それ以上に、岩屋は元の世界での生活に近いサザキの存在が重要だった。その上、この世界では復讐することが、元の世界以上に容易に行うことができる。これらのため、サザキは岩屋の中でどんどんと大きい存在となり、今では生きている理由ともなっている。
奉王将軍の話によれば、どうやら息子は乳母がいるらしく、その人に預けているということ。そして、その場所は、奉王将軍だけしか知らないという。
