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地下指揮室から出る際、鎮郷将軍に話しかけるものは誰もいなかった。ただ、侍従長も、参謀も、一兵卒に至るまで、全員が静かに涙を流し、最大の敬意の現れとして、敬礼をし続けていた。
部屋から鎮郷将軍は出ると、ふぅとため息をつく。それから気合いを入れるためか、叫び出した。周りの兵士は、乱心したのかと思うが、特に触ろうという気配はない。邪魔をしてはいけないという気配が、鎮郷将軍にはあふれていた。
「よし、行くぞ」
叫び声は、何分も続いたように思えた。だが、それは廊下や部屋に反響し続けて、そう感じたに過ぎない。それでもそう思えるほどの迫力が、今の鎮郷将軍にはあった。




