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1063.
「私も司令官だ。負け戦となったこの状況で、足も挫き、満足に歩けないとくれば、未来はすでに見えている。最期ぐらいは、私で選ぶさ」
そして、持っていた銃を、みずからの右側頭部に押し当てる。
「最後に一つ」
兵士は向けていた銃をすでに下ろしている。それは司令官として散る最期をしっかりと見届けるためだ。
「何でしょうか」
「私には何が足りなかった」
「それは、覚悟でしょう」
「覚悟、か。次会える時には、それを言えるような人になりたいものだ」
兵士は敬礼をする。
「お元気で」
「ああ、君もな」
一発。音は響く。弾丸は迷うことなく頭蓋を破った。一つ、また一つと神経を切り刻む。
気がつくと、兵士は涙を流し、司令官は倒れ、笑っているように見えた。




