1062/4333
1061.
1時間の間に、塹壕はすっきりとした。攻められて威張っていた塹壕司令官が、慌てふためいて逃げようとしているのを見て、直属の部下らも嫌気がさしたようだ。気づけば、1割も残っていなかった。
むしろ、残っていたのは動けない人らばかりで、行けるようなら行きたいと思っていただろう。それが無理だから、ある若い兵士が塹壕司令官へと近寄った。
「司令官殿、具申します」
「なんだ、申してみろ」
腐っても司令官だ。目つきは鋭く、手元にあった銃の弾倉を確認している。
「この塹壕は、すでに戦線として成り立たなくなるほど人数が減りました。よって、降伏することを進言します」




