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ARTIFACT  作者: シェイド
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三章「説明」

「まずは能力についてだ。ちなみに能力は総称して“アーティファクト”と呼ばれている」


「あーてぃふぁくと? どういう意味だよ」

 中学生で尚且つ英語が苦手な瑠色の辞書に、その言葉は載っていなかったようだ。


「意味? 英単語としての意味は加工品とか、そんな感じだ。そんなことより、お前の『想像』能力のことを教えてやる」


「加工品? 意味が解んねえ」

 瑠色はその場に座りこんだ。話が長引きそうな上に、体が悲鳴を上げていたからだ。


「『想像』は物事のパターン全てを瞬時に考え出し、想定する能力だ。これによって、相手の攻撃パターンを『想像』し、回避、反撃に繋げることができる」

 白兎は瑠色が座ったのを見て、目線を合わせるべく下降しながら語りを続ける。


「ちょっと待て。ってことは、僕の能力は考えるだけってことかよ」

 瑠色は眉間に皺を寄せて、ビートの右耳を掴んだ。


「まあそうだが、お前の能力は強いぜ、俺が保証する。その理由は今は言えないがな。というか、離せ。ちぎれたらどうする」

 ちぎれることを恐れ、動かない白兎は可愛らしいフェイスで渋く凄んだ。


「あ、悪い、つい。僕、人形とかすぐ壊すタイプだから」

 本人にはそのつもりはないが、この発言に、ビートは恐怖と戦慄を感じた。


「……そして、能力者の義務についてだが、他の八十四人の能力者を倒して力を奪うことだ。奪い方は相手を倒した後、相手に触れながら、力を奪うとお前が思うだけでいい。尚、能力者は全員、日本にいる」

 ビートは早口でまくし立てる。恐らく、瑠色の近くから離れたい一心なのだろう。


「そ、そんな早口で言われてもよく解んないんだけど」

 流石に瑠色も困惑の表情だ。


「あ、あと一つ。『結託』という能力があり、それは能力者全員が使える。能力者二人以上が集まった状態で、それぞれが『結託』すると認識すればいい。その能力は使えば分かるが、必ずしもやる必要はない。何せ能力者は全員敵だからな」

 先程の速度を上回るスピードで、息継ぎも無しに言い切る。水泳でもやれば中々、上を狙えそうだ。……人間ならの話だが。


「ひ、必要最低限は伝えた。俺は帰る、じゃあな」

 そう言って、呆気にとられている瑠色の前から逃げるように、白いものは消え去った。



「……だから、早すぎて解んねえんだよ!」

 いつの間にか日は落ち、暗闇となった山中に、瑠色の叫びだけがこだました。

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