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きんご

金吾「・・・・・(涙)」

松平「どないしたんや金吾!」

金吾「(涙声で)僕、進学辞めて働く・・・」


   松平、テーブルをたたいて叫ぶ。

松平「バカモン!」

   静子、驚く。

   金吾、泣いている。


松平「このくらいでびびっててどないするんじゃ!」

   松平、用紙を手にする。


松平「わしらにはな、幸いなことに財産が一銭もないんじゃ。

 そやから差し押さえもでけへんのや、安心せえ。

 わしらもそうやが取るほうも景気がようなるまで

 じっと我慢で 耐え忍ぶしかないんや」


   松平、お茶をがぶりと飲む。


松平「一番大事なことは、優先順位を間違わんことと

 絶対落ち込まん事や。向こうさんは仕事やから次から次に

 矢の催促をしてきよる。それはしゃない。


 ぎりぎりのところで、ちょこっとだけ払うしかない。

 おかしなもんやな、おおきに言うて頭下げて帰りよる。

 気長うふてぶてしくお付き合いすることや」


   金吾、まだ泣いている。


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