信販
〇マンション、1Fピロティー(イメージ)
408号室を押し続ける怖そうな男。
松平のN「この2週間が長かった・・・・・」
ポストに『金払え!』のメモがわざと見えるように入れてある。
慌てて取り除く静子。
〇同、408号室、電話機
留守電の声「法的手段に訴えることになりましたので通知します(ガチャ)」
留守電の声「事故扱いとし口座を閉鎖させていただきます(ガチャ)」
留守電の声「裁判所から通知が行きましたら必ず出廷してください(ガチャ)」
留守電の声「近日中にお店に伺いますので覚悟しといてください(ガチャ)」
〇シネマ村、切り文字屋、外
静子が一人で店番をしている。
営業中だが客はいない。
スーツ姿の男が裏からくる。
信販「こんにちわ、亜細亜信販のものですが、静子さんおられますか?」
静子「私が静子です」
信販、近寄りささやく。
信販「少しでも払っていただけませんか?」
静子「ぜんぜん、今手持ちがありません」
信販「今日の売り上げからでもなんとかなりませんか?」
静子「見ての通りのお客さんです。それにもし売れたとしても、売り上げは
全額シネマ村に入金せんとあきません」
信販、隅のほうに行き。
信販「ちょっとここに座らしてもろうとってもいいですか?」
静子「ええ、どうぞどうぞ」
信販、隅に座る。
信販「毎日こんなんですか?」
静子「毎日こんなんです日曜でも。人件費が出へんから仕入れの店舗は皆
撤収しました。今残ってるのはメーカー直販の店ばっかりです」
信販「10年位前に来た時はすごい人やった」
静子「10年前と今とでは大違いです、どこでも」
しょんぼりと座り続ける二人。




