年越しそば
〇マンション、408号室、内
居間に家族4人そろっている。
テーブルの上にそばが4つ置いてある。
松平「今年もいよいよ押し迫った。みなよう聞いてくれ。
『奨学金とアルバイトで進学、指定校の推薦を受けること、
生活のほうは何とかする』と言うてこの春スタートしたが
君たちはしっかり頑張ってくれたのに店のほうが失敗して
もた。不況のせいや言うてみても今更始まらん。
会社は倒産、お父ちゃんとおかあちゃんは連帯保証人やから
即二人とも自己破産を申請する。店の名義はお母さんに変える。
車のローンは目録にあげたら取り上げられるから金吾が代わり
に払っていくことにする。破産が知れると店とマンションは
出ていかなあかんかもしれんから復活するまで秘密厳守。
破産してもみんなが元気で今までどおり仕事ができて、
君たちが無事大学を卒業できたら、それをわが家の大勝利
とする。まずは正月明けに一日も早く自己破産の申請を受理
してもらうことと、金吾の授業料免除を勝ち取ることや、以上」
全員黙って聞いている。
静子「売掛金から家賃と学費水道光熱費を先に振りこまないかん
分気が楽やけどとにかく取り立てを何とかせんと店まで来よる」
松平「そやとにかく急がなあかん、この正月大いに売り上げて、
正月明けから大忙しや。みな心して夏までの長い修羅場勝ち
抜こな!ほな年越しそば食べよか」
全員「いただきまーす!」
全員そばを食べ始める。