預金拘束
〇金沢平和堂、電話ボックス、内
元の電話ボックス。
松平、受話器を握っている。
静子の声「それですぐ電話したんや(涙声)」
松平「そうか、そりゃ口惜しかったやろ、修羅場や。
絶対何とかするからそのまま店で待期しとき。
誰やその窓口の係りは?・・梶山?ふむふむ」
松平、メモをして受話器を切り再ダイヤルをする。
松平「あ、もしもし梶山さんですか?今金沢から電話かけてます。
よう聞いてください。先月資料をもって事情を説明しに伺いました。
担当の方が『よくわかりました年明けに決算表をもってもう一度お
越しください』と言われてましたのに何の予告も無しに売掛金全額
差し押さえとはどういうわけですか?我々庶民に死ねといわはるん
ですか!」
電話の声「死ぬなんて、そんなことはないでしょう。ま、とにかく今
その上司が居りませんので預金は拘束いたします。規則ですので」
松平「法律では21万円までは差し押さえされへんのとちゃいますか?
全額はちょっとひどいですよ!」
電話の声「差し押さえではありません預金拘束です。とにかく私では
わかりかねますので明日ご連絡ください(ガチャ)」
松平、受話器をにらみ叫ぶ。
松平「あほたれ!くそっ!」