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もうどうにでもなれっ

作者: 夏川あかり

『もうどうにでもなれっ』


そう叫んでみたらきっと


この心の小さなもやもやなんて


どこかへ吹き飛ばされてしまうんだ



そのくらい軽くて弱い



重い服を着て歩いていれば


そのうちその重さに慣れるように


心に感じる重さだって重さに慣れれば


そのうちないものと同じになる



『もうどうにでもなれっ』


その言葉はあきらめと同時に


脱ぎ捨てるという意味もあるんだと思う



そう叫んだ後の顔はきっと


晴れ晴れとして澄んでいるんだろう



どんなに孤独を感じても


どんなに限界を感じても



そんな思い脱ぎ捨ててしまえばいい


失くすものの大きさに怯える前に


一言叫んでみればいい



『もうどうにでもなれっ!!』


そうすれば


世界は限りなく広くなって


世界は限りなく透明になっていく





景色が流れ去る窓からでも


日が隠れる海からでも


差し込む光のような星空の深海からでも


ポスターの張られた天井を見上げるときでも




どっからでもいいんだ



思ったように足が動くランナーみたいに


重力を感じさせない軽やかさで風を切れる








人は心が満たされていれば


どんなに不自由な環境に生きていたとしても


どうにかしていけるんだと思う



大好きな曲を聴いたり


圧倒的な絵画を見たり


呼吸ができなくなるくらい走ることで


心が満たされるかもしれない



もしくは


誰かの言葉で


誰かの行動で



大切な人の存在で


心が満たされるかもしれない



他人にとってはほんの些細なことや


くだらない価値のないものかもしれないけど



心に響いた言葉があるなら


涙に変わった思いがあるなら


それだけで不安も限界も十分吹き飛ばせる




決して周りの環境だけが


身の回りにある物だけが



すべてを決めるわけじゃない





心が満たされていれば


それが磁石の代わりになって


周りのいろんなことを惹きつける



不安がいずれは自信になる


感動がいずれは心になる



今感じている感動を


今感じている虚無感を



しっかりと噛み締めて


両手で持っていくんじゃなくて


背中に背負っていくんだ



のしかかっていたものと一緒に


自ら背負うんだ




『もうどうにでもなれっ』



そう思っただけで


背負っていることの重さがすべて羽になって


きっと今とは違う未来に連れて行ってくれる





煙のように消し飛んでいくような不安を感じたとき


意志の柱が折られてしまいそうだと感じたとき


孤島に取り残された後のような静けさに身を置いたとき



『もうどうにでもなれっ』



周りの物や人、環境に執着していた自分が


ふわりと離れて行って



本当の自分が見えてくるんだと思う







読んでくださってありがとうございました。


失くすものばかり考えてしまう時、もうどうにでもなれと思うことで、きっとすべてをすくい取っていける。そんな気がして書きました。


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