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第2話 ローリィ・マリン


「リリン様、ただいま戻りました」

「お疲れ様、コリン」


ここはラケーターの本部。

表の世はここに本部があることを知らない。

まあ、決してわからない場所に建ってあるせいもあるが。


コリンは本部の最上階にある部屋に座っている、一人の女性に帰還の報告をした。

長い黒髪、足まで届きそうな長い裾のスーツ。そして、有無を言わせないその紫色の瞳。

『リリン・グリーン』

コリンと同じサークル族の彼女は、ラケーターの総司令官だ。


「今回の報酬だ、受け取れ」

「ありがとうございます」


リリンは全てのラケーターの情報を管理している。そして、ラケーター一人一人に任務を与え、報酬を渡すのだ。

昔は彼女もラケーターをやっていたそうなのだが、詳しいことは不明。


「コリン、帰ってきて早々悪いのだが次の依頼が入ってきているのだ。頼めるか?」

「わかりました」


リリンは一通の封筒をコリンに渡した。

コリンはその封筒の中身を見て、疑問に思った。


「……?共同、任務ですか…?」

「今回の任務は二人で行ってもらう。一人よりは心強いだろう?」

「………」


内心、コリンは不服だった。

今まで、コリンは単独でしか任務に出たことがないからだ。

それに、元々コリンは人と行動を共にするということが嫌いなのだ。


「お前の気持ちは重々理解している。…だがな、一人よりも二人のほうが確実に安全だ。それに、最近はラケーター同士集まって、常に複数で一緒に任務に向かう者も増えてきている。コリンも共同任務に慣れていたほうがいいだろう…」

「…リリン様の命令は絶対…わかりました。それで…その相手は誰ですか?」

「あたしだよ、クライドさん♪」


ふと扉のほうから聞こえてきた明るい声に、コリンは反射的に首を動かした。

そこには、自分と同年代ぐらいの女の子が壁に寄りかかっていた。

茶色の髪、青色の瞳。そして、青色を貴重とした身軽な格好に身を纏っている。頭には服と同じ色のバンダナを被っていて、コリンはそれに装飾されている緑色の紋章に目がいった。


「緑の三角模様…トライ族か」

「大正解♪」

「彼女はローリィ・マリン。ラケーターでもあり、忍でもある」

「……トライ族らしいな。トライ族には魔法が使えず剣や身体能力に秀でている者が多いと聞いている」

「えへへ、お褒めのお言葉どうもありがと。じゃあリリン様、ちょっくら行ってきますね!」

「ああ、気をつけて…」

「行こう、クライドさん♪」

「ああ…」


ローリィは笑顔を絶やさずにリリンの部屋を出て行った。

コリンもそれについて行った。


――この忍とならうまく任務が遂行できそうだ…


コリンは内心安心していた。

もし自分と気があわない者と共に任務に行かなければならなくなったら…と、コリンは不安だったのだ。


「クライドさんってサークル族なんだねー」

「ああ」

「クライドさん、知ってる?サークル族とトライ族って、昔は仲が悪かったんだよ」

「そうなのか…」

「神は昔、『魔法』と『剣』の力を創造し、サークル族とトライ族、どちらか一方に二つの力を全て授けよう言ったの。それで戦争が起こっちゃったんだってさ」

「よく知っているな…」

「うん。あたしって勉強熱心だから♪」

「……」


――……あれ?


「それで、これ以上戦争に巻き込まれたくないって思ったのか、神は二つの力を分け、サークル族には魔法、トライ族には剣の能力を使えるようにしたんだって。それに満足したのか、戦争は終わったみたい」

「ほう…」

「でもさー、トライ族にはごく僅かだけど、まるでサークル族のように魔法が使える異能者がいるんだよね。これってつまりさ…」


ローリィはコリンの耳元に顔を近づけ、囁いた。


「トライ族のほうが、サークル族よりも才能がある人が多いってことだよね♪」

「………」


コリンの額に、青筋が浮かび上がった。

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