第1話 コリン・クライド
この世界には、三種類の種族が住んでいる。
紫色の瞳で黒髪なサークル族。
青色の瞳で茶髪なトライ族。
赤色の瞳で黒髪なフラン族。
「ぐあぁっ!!」
三種類の種族ともみんな紋章を掲げている。
サークル族は赤い円の紋章。
トライ族は緑色の三角の紋章。
フラン族は真っ黒な6枚花の紋章だ。
「やめ…助けてくれっ!…ああぁああっ!」
サークル族は強力な魔法が使え、魔法使いが多い。
トライ族は魔法を使える者はごくわずかだが、剣やクナイの扱いになれている者がほとんどなため、忍や剣士が多い。
フラン族は他の種族とは少し違い、特殊な能力を持つ者が多い。
「…!?な、なんだお前は!」
「……上からの命令だ。お前を殺しに来た」
そして、この世界には表の世は知らない裏の組織が存在している。
「待て…、こっちに来るなっ!お前は一体何者なんだ!!」
「名乗るほどの者ではない。お前はこれから死ぬんだから、尚更な」
「やだ…、死にたくない…!ぎゃあああぁあ!!」
ラケーター
それは、人殺しを行う職業。
「…これで、全部か?」
サークル族の紋章が入った紫色の長袖なワンピースに、黒いスパッツ。
腰まである長い黒髪は横でサイドテールにしている。
彼女…『コリン・クライド』もまた、ラケーターだ。
「ひ…人殺し……っ!!」
「…?…まだ生き残りがいたのか」
血まみれなこの部屋に、小さな女の子の声が響き渡った。
コリンが殺した者の娘だったのか、女の子は転がっている人間に近付いた。
「…ひっく…お父さん…っ」
コリンは顔色一つ変えないまま、その子に近付いた。
「ひっ…」
「安心しろ。私は上から依頼された者しか殺さない」
自分も殺されるのではないかと女の子は身を縮こませたが、コリンは女の子の頭を撫でるだけで何もしなかった。
でもそれは、どっちみち女の子の死を意味していた。
コリンは呆然とこちらを見ている女の子を一瞥し、部屋から出た。
コリンの表情は、最後まで無表情だった