プロローグ [2]
幼い時に両親を亡くした。交通事故だった。当時の事はまだ幼く全くといって記憶にない。私が助かったのは奇跡に近かったらしい。
預け先がなかった私は孤児院に引き取られる事になった。幼すぎた私にとって全く知らない人達の所で生活をするのはとても辛かった。特に誰とも話す事は無く静かに生活していた。
出会いは突然だった。孤児院に訪問に来ていた男女二人組が私を養女にしたいといってきた。孤児院の人達もその方が幸せだという事で話は進んでいた。
「美夏ちゃ〜ん!私、水澤葵。よろしくね!!」
とても綺麗な女性が話しかけてきた。
「僕は、水澤瑛志。これからよろしくね!!」 とても優しそうな人が話しかけてくれた。
「ほら、美夏ちゃん挨拶して?」
「……よろしく…おねがいします。」
「ちゃんと挨拶できるなんてエラいね〜♪」
女の人が微笑みながら頭を撫でてくれた。
ただ単に嬉しかった。
打ち解けるまでに時間はかからなかった。二人が孤児院を訪れる度に二人に会うのが楽しみなっていた。
孤児院を出る日はそう遠くなかった。
孤児院を出る日、前から聞かされていた私より2歳年上の男の子。会うのに不安はあったけど楽しみの方が大きかった。家に着くと男の子が出てきた。3人が軽い会話をしたあとパパが男の子に自己紹介しろと言った。
「え〜っと、ボク優太!5歳だよ。」
今度はママが私に自己紹介しろと言った。
「美夏です。3歳です。よろしくお願いします。」
ママは自己紹介できた事に頭を撫でて誉めてくれた。
「よろしくね!美夏ちゃん♪」
優しい笑顔で私を迎えてくれた。
「うん♪」
笑顔は自然と出てきた。家族という愛に、人の温もりを感じた瞬間だった。