第27話 林原りんごの場合
―――――――――――――林原りんごの実家ーーーーーーーーーーーーー
林原竜二 知らない人は居ない 大ヒット漫画【バンババン】作者
原作は5年ほど前に完結したが その後もアニメ、映画、ゲーム等 様々なコンテンツで利用されている
彼の年収は20億以上ともされている 近年は一切作家活動はしていない
95%自宅に居て 家族と悠々自適の生活をしている
林原りんごはそんな男を父に持つ 大金持ちの息子ということになる
(林原ママ)さとし~もう 寝なさい 明日速いんでしょ?
りんごは庭にあるトレーニング施設でひたすら練習していた
庭だけで400坪はある広大な敷地のはなれに 屋根付きで設置したトレーニング施設は
ランニングマシンやフィットネスジムにあるような機材がひととうり揃っている
中にミニゴールもあり そこに向けてボールを何度も放り込む練習をしていた
(林原りんご)クソ 成功率80%、、これじゃ実戦でつかえない
自分の身体能力を徹底的にデータ管理しているりんごは 【成功率】を最も大事にしていた
1回だけできたって 本番では成功しない事が多い なので一つの技を最低10回やって
10回成功して初めて納得する それが出来ない限り ぶっ倒れるまで繰り返す
狂気じみた練習法が 彼のスタイルだった
(林原ママ)もう お父さん さとし止めてきて
(林原竜二)はいはい
林原竜二はそう言うと 離れのトレーニング施設に向かった
(林原竜二)さとし もう辞めなさいな
(林原りんご)あ、今何時でしたっけ?
(林原竜二)もう 9時だよ 明日試合でしょ?
(林原りんご)後 4回なのでこれ決めたら
そして1~2とボールを放り込むが
てん、、、ててん
3球目で失敗 うまく合わせられずにボールは足元に転がった
(林原りんご)クソ!!
大きな怒鳴り声をあげて りんごが叫ぶ 完璧主義というか もうそれを超えた 最早狂気である
(林原竜二)なあ さとし 1500万返さなくていいからな?
(林原りんご)いえ 返しますよ 約束ですから
林原竜二の教育方針は (息子に金を投資する)という手法だった
お金は湯水のようにある だが 息子にあげてしまうと 金の価値がわからないクズに
成長してしまう事を恐れたためだ
元々自分は貧しい家で育ち 漫画家になったのは15歳だが バンババンを作ったのは30の時
15年鳴かず飛ばずで バイトを繰り返す本当に貧しい生活をしていた
現在55で 結婚したのも39の時 決して順風満帆ではなかった
お金の価値は身に染みてわかっているし たかが500円稼ぐのに皿を何枚洗わないとダメとか
そういうものも わからない男に育ってほしくなかったためである
息子がサッカーのトレーニングルームが欲しいと言ったときに条件を出した
それは(施設を作る資金をいつか必ず稼いで返す事)
トレーニングルームを作ったのは彼が10歳の時だが 彼にtaktokをやらせ
自力回収をすすめたのは 竜二の提案である
だが (誰に似たのか) 強情なりんごは 狂気じみた練習と根気で
ぶっ倒れるまで 体を鍛えたりするので 正直親としては心配で
トレーニングルーム設置にかかった1500万を貸すという 提案をしたことを
内心後悔していた
(林原竜二)じゃ、じゃあさ まあ明日仕事なわけだし 10-9で 手じまいにするとか?
(林原りんご)じゃあ 10-9で 成功したら寝ます
りんごは一度約束すれば それは必ず守る
これ以上は言っても無駄とわかっていたので 父親は はァ と肩を落とすと
寝室に戻っていった
――――――――――――――小原のシェアハウスーーーーーーーーーーーー
小原はいつものように 夕飯の支度をしていた
今日はカレーである 4時ごろから作っていたが間もなく完成する
篝たちが 匂いに誘われたのか 2階から降りてきた
(篝)あ、小原さん おいしそ~ いい匂いしますね
(あかね)あ、ほんとだ 凄いいい香りする
3人はテーブルを囲んで 椅子に腰かけると カレーを食べていった
(篝)小原さん 明日って試合ですよね?
(小原)ああ、そう 家元さんからチケットあずかってますよ 見に来ますか?
(篝)ええ~いくいく でも印西ってどこで電車乗り継ぐんでしたっけ?
(小原)あ、当日はスタジアムからバス出るんで それ乗っちゃっていいですよ
席空いてますし
(篝)わあ~ いいんですか? やった
(あかね)え?小原さんアタシもいい?
(小原)勿論ですよ お二人ともバスで 朝は一緒に行きましょう
(あかね)やったー 凄い楽しみ
そんなことを話しながら 夜はふけていった
明日は決戦 泣いても笑っても明日で最後である
第28話につづく




