第24話 入れ替え戦初戦(後半戦) 嫌な予感
印西ボールでキックオフ また市川はゴール前に9人入り鉄壁のDFを作る
相変わらず鰻は鍵谷にマンマーク 元の基本戦術に戻し逃げ切り体制に
鍵谷は味方からパスを受けると 即座に鰻をかわし ミドルシュートを放つ
どーん
松田がヘッドでクリアする 鍵谷はあまり中距離からのコントロールシュートは得意ではない
キッカーとしての能力は平凡で どちらかと言うと 運動量とスピードで勝負する
鰻と同じようなタイプである
だが、印西の得点の起点はどうしても 鍵谷である 彼が起点にならないと 中々点が入らない
それを印西の選手はわかっているため どうしても鍵谷にパスが集中する
ばっ
そのパスをまたしても鰻がインターセプトする 鍵谷も少し動きが鈍くなってるせいか
鰻に全く追いつけない 鰻はもう60分以上走り続けているのに 全くスピードが落ちない
とんでもない スタミナである
(家元)よーし イケー 2点目だあああ
鰻が鍵谷を抜いた為 また 市川のメンバーが全員走り出す
(小原)あれ?なんでみんな攻めてんだ??
指示を無視して勝手に?
――――――――――――(追憶)後半開始前ミーティングルームーーーーーーーーーーー
(小原)そのとうりです ここが仕掛けるスイッチだと思います
(鰻)あ、じゃあ 僕がもし彼を突破できれば攻勢に出るって事ですかね
、、、、、、、、、
(小原)あ、私が指示している、、 じゃあみんなは指示どうり動いているだけ
いや、いいのか?アレで 2点目が入れば決定的 試合は次もある
1点だと不安は残る 取れる時にとっておくべき 鍵谷は明らかに落ちてきている
彼が起点にならないと 印西は点が入りにくい 条件は整っている
でも、なんだ 物凄く嫌な予感がする
小原はゲームだが何万、いや何億試合と試合を見てきた
ゲームだと一番怖いのは(点をとった直後)である
理由はよくわからないがこのタイミングが一番(失点率)が高い 勝ってる方は調子に乗っている
守りがおろそかになる 点を入れられた方は 一段ギアを上げてくる
色々な要素がからんで 小原の経験上一番アブナイ時間帯というのを 直感で感じていた
疑心暗鬼になりながら ピッチをしらみつぶしに見続ける すると
(小原)みんな 戻って 全員戻れーーーーーーーーー!!!
小原は渾身の力で叫んだ その声は前線でボールを保持する鰻に届いた
鰻を中心に市川の選手が囲いだした すでに移動要塞作戦を始めていた
(鰻)え?小原さん戻れって?
(松田)いやいや 戻れって もう戻った方が危ないでしょ
(九蘇真面目)もう ここまで来たら行くしかないって
市川の面々は鰻を囲いながら話し合う その一瞬の油断を鍵谷は見過ごさなかった
強引に体を囲いにねじこんで ボールを外にかき出す
(鍵谷)ようし もらった!! 前へおもいっきり出せ!!
鍵谷の指示を受け こぼれ球を拾った印西CBが前線に大きく蹴る
が、市川のメンバーはセンターラインまでしか蹴れないと思っていた
その位置ならペペが全力で走れば十分追いつく 一瞬でも止めてくれれば
足の速い鰻やりんごが フォローに行けるだろう が、、、
どーん
ボールはセンターラインを大きく超えて蹴りだされた
印西のフォワードが市川のエリアのちょうど中間地点あたり PAまで5~6歩の位置でボールを受ける
ホイッスルは無い 九蘇真面目がどうしてだ?と両手を広げてアピールするが
即座に気持ちを切り替えて 全力で走る
(切山) ぜえ ぜえ
切山がセンターラインより自陣側を歩いていた そもそも15分しか走れない切山が最初の全力疾走でスタミナを根こそぎもって
いかれていた インターバルもロクに無いまま 次の全員攻撃が開始したため
まったくついていけてなかった 切山が居た為 オフサイドラインは大きく下がり
パスが通ってしまったのである
ペペがかつて見たことも無いほどのスピードで走るが
(ペペ) クソ 追いつかない、、、
余りに離れ過ぎた 印西フォワードとの距離 さすがのペペでも追いつきそうにない
(印西フォワード)よし これで同点だ
印西フォワードは 単独で市川ゴールに向かってドリブルしていく
ゴールにはもう家元しか居ない
(家元)舐めるなよ!!若造がああ( ゜Д゜)
週1万や2万で 雇われてるお前と これ負けると25億失うおいらを
同じにされちゃ 困るんだよ!!!!!!! おおおおおおおおおお
家元が渾身の気迫で吠える 印西フォワードはまだ17のユース選手
気圧されたのか すぐにシュート体勢に入ってしまう
どん
印西フォワードが ループ気味に家元の頭を超えるシュートを放つ
家元は懸命にジャンプして手を伸ばすが
気迫で能力は変化するわけもなく 悲しくも届かなかった
そして ボールは無情にも 市川ゴールへ、、、、、
ガン
ボールは市川ゴールのゴールポスト上段の下側に当たった
真下の地面に当たって跳ねるボール 家元は懸命に走ってそのボールを空中でキャッチする
ボールが弾んだ位置が微妙だ ちょうどゴールの真下 少しでも内側ならゴールが認められてしまう
ノーゴール
審判はノーゴールの判定 印西の鍵谷は当然食いさがる
が、NFL入れ替え戦にビデオ判定は無い 審判の決定は絶対である
(家元)いててててて うううううう
家元がうずくまってもがいている 明らかに様子がおかしい
審判は即座に 治療を促して 試合を止めた
小原はメディカル用のバックを肩に担いで 家元の元に走る
(小原)家元さんちょっと触りますよ
(家元)あいたたたたた 滅茶苦茶痛い
小原は医者じゃないが 趣味で鍼灸や整形の勉強をしていた
マッサージのバイトをしていた時 何かの役にも立つかもしれないと思ったからだ
痛いと言った場所は極端に熱をもっている これは間違いなく(炎症)を起こしている
(小原)皮膚の中での炎症、、、考えられるのは肉離れか骨折か あまり軽いものではないな
小原は心の中でつぶやく これが家元の耳に入ったら 痛みは倍増してしまう
湿布を貼り バンテージで患部をぐるぐる巻きにして固定する 肉離れなら少しでも
筋肉が動かないようにすればいいと思ったからだ
だが 当然だが 試合は続けられるものでは無いと思い
(小原)大久保さん準備できますか?
(大久保)え?俺? キーパーなんかやったことないよ
(九蘇真面目)あ、小原さん俺小学生の時キーパーやってたんで
(小原)あ、じゃあ真面目さんにキーパーやってもらって大久保さんにサイドバックを
交代の話をまとめようとしたら、、、
(家元)待って! 俺にやらせて 頼むから小原さん
(小原)いや、無理ですって とてもじゃないですけど
(家元)あ、あれだ 針麻酔 アレお願いしますよ 小原さん それで後15分くらいできるでしょ?
これで万が一真面目ちゃんが点取られたら 恨んじゃいそうで
自分がやって 負けたらもう 諦めがつくというか、、、
家元はそう言っているが 九蘇真面目を気遣っての事だろう
これで確かに点を取られたら戦犯である
次の試合のモチベにも関わるし 何より誰よりも真面目で優しい 九蘇真面目はひどく
落ち込み トラウマとして残るだろう
小原は黙って皮内針をバックから取り出し 家元の手袋を外した
皮内針はその辺の薬局でも売っている極めて短い針である
シールのようなもので貼るようにできていて 貼り付けた瞬間に短い針が刺さるようになっている
親指と人差し指の付け根にある合谷というツボに針を入れ 上からぐいぐいと指で押し込む
(家元)いてててててててて
症状がある場合は ひどく痛む が、針の効力は即効性が強い
(家元)あ、痛く無くなってきた
家元はそう言うと歩いてみせた 針による針麻酔は即効性が高く たしかにほんの少し
痛みを軽減する効果はある だが 肉離れの痛みがひいて 歩けるようになるほどのものではない
だが もっと強いのが人間の思い込みである
効いた!と思い込んでしまえば 割と平気になったりするものだ
(小原)針麻酔の効果は30分続きます でもあまり無理はしないでくださいね
(家元)わかりました! 小原さんありがとう( ゜Д゜)
真っ赤なウソだが 単純バカには効果はかなり見込める
とにかく後はみんなに耐えてもらうしかない
(小原)みなさん 一回作戦は白紙に戻します とにかく鰻さんも含めて全員で守ってください
それから市川の選手は必死に守り抜いた
家元の調子がおかしいのを見越して 印西はミドルシュートを果敢に撃ってくる
(松田)いえもっちゃんは アタシが守ってあげる!!
松田は(変な母性)を発揮して ヘッドでゴール左上を狙ったシュートをはじく
その後も皆で必死に守り抜く
(大久保)僕だって 役に立てるんだからな
切山の代わりに入った大久保がシュートを足でブロックする
市川の選手10人がPAに入り必死に守り抜いた
ぴっぴー
ここで長い笛 試合終了である
市川はなんとか初戦1-0で勝利 だが、、、
家元の負傷という 手痛いアドバンテージを 相手に与えてしまうのだった
第25話につづく




