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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第四章【サマナイズ編】

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(アッシュ)77 ローレンの気持ち

(アッシュ)


「……<ドン・スネーク>でもう十分ではありませんか。もうこれ以上は……。」


ゲリーの隣にいる奥さんが様子を窺いながらそう言うと、ゲリーはあからさまに不快そうな顔をし、その奥さんを殴り飛ばした。


「何もできない役立たずは黙っていろ!!召喚モンスターの使い方も知らない日和見女め!

雑魚モンスターとしか契約できなかった無能は、黙ってろ!!」


「は……はい……。」


その場にヘタリこんだ奥さんは、赤く腫れた頬を押さえて頷くと、子供は泣きそうな顔で駆け寄る。

ゲリーはその光景を見て鼻で笑うと、そのまま部屋から出ていってしまった。


「母様、大丈夫ですか?」


「えぇ、大丈夫よ。こんな所を見せてごめんなさいね。」


奥さんの方はすぐに何でもないかの様に立ち上がりニコッと笑うと、部屋の外に控えていた侍女を呼びつけ、息子を部屋に送るように頼む。

すると息子の方は奥さんの方を気にしつつ、大人しく部屋から出ていき、部屋の中にいた執事や他の侍女達にも退室を命じた。


「…………ハァ……。」


一人きりになった部屋の中で、奥さんは大きく息を吐き出し、ソファーへと倒れこむ様に座ると、片手で目元を覆う。


「……仕方ないじゃない……だって……私が何を言っても……。」


そしてブツブツと独り言を呟き始め、更にもう片方の手も目元へと持っていき両手で顔を隠した。


「子供のため……私が我慢すれば……。」


「……子供のため、ねぇ?」


影からコッソリ出た俺が、その女の座るソファーの背後に立って答えてやると、女はすぐに手を顔から外し、目を見開いて俺を見上げた。


「────っ!!だ、誰────っ〜〜っ!!?」


「騒ぐと殺すしかなくなるから止めてくれない?めんどくさいからさ。」


すぐに叫ぼうとする奥さんの口元を片手で押さえ、もう片手で『し〜……』と黙る様に人差し指を自分の口につけて伝える。

すると、奥さんはそこまで馬鹿なヤツじゃなかった様で、大量の汗を掻きながら、コクリと頷いたので、俺はゆっくり手を外した。


「わ……分かったわ……。私を【シリンズ】家の<ローレン>と知っての事なのね?

目的を言いなさい。お金?それとも宝石……。」


「ハイハイ、ローレン様ね。

残念ながらどっちも外れ。情報が少し欲しいんだけど、ちょっと答えてくれない?」


ニンマリ笑いながらそう言ってやると、奥さん……ローレンは動揺したのか肩を震わせる。


「……悪いけど、仕事内容の中には守秘義務があるモノもあるの。それ以外なら……。」


「ん〜?どうかな?もしかして『お仕事』にカテゴリーする内容かもね。

とりあえず、アンタの旦那の召喚したモンスターについてまず話してくれない?」


俺の質問を聞き、ローレンは体の力を僅かに抜く。


「それだったら、特に隠しているわけでもない様だから教えるわ。

召喚したモンスターは<ドン・スネーク>。

持っていた精霊の加護は【火の加護】よ。

加護についてはまだ未知な部分が多いから、詳しい能力は分からないけど……見ている限り、火属性の攻撃力を飛躍的にUPするモノみたい。」



<ドン・スネーク>

体長10m越えのヘビ型Dランクモンスター

大きな口から吐き出される消化酸液は強烈で、普通の生き物なら一瞬で溶ける程。

更に毒霧で広範囲に渡る毒デバフ攻撃もしてくるので注意が必要

動きは俊敏で体を覆う鱗の防御力も高いため、単体討伐は難しい



「なるほどね。それはチラッと街での会話でも聞いた内容と一致しているから間違いない様だね。」


ドン・スネーク自体は、普通のDランクモンスターだが、【火の加護付き】となると、別物と言ってもいいだろう。

俺はそのめんどくさい展開に、ハァ……と大きなため息をついた。


【精霊の加護】は、それを持つ者に大きな力を与える。

ただし、その加護は色々な種類があるらしく、ある程度当たりハズレもあるらしい。


例えば【火の加護】なら、火属性の攻撃がUPする、火の耐性値がUPするなどの効果がある様で、これは大当たり。

他にも【水の加護】や【雷の加護】などなど、魔法属性や物理属性系の戦闘に特化している加護だとこれも当たりに分類されると言われている。

その他には【少しだけ運がよくなる】や【手先が少しだけ器用になる】など、日常生活に少し便利なモノから、【疲れやすくなる】などのデバフに近いモノもある。


こんなランダム満載な加護、実は同じ加護でも能力に大きな差があるため、詳しい事は全て不明。

更にモンスターだけではなく人間にもつくので、条件もサッパリなのだ。


「火の加護付きなら、それこそ戦闘特化って事だ。召喚できて大ラッキーだったね。

でも一体、何体目でそんな強力なモンスターを当てたのかな?

一回や二回じゃないんでしょ?」


「そ、それは……。」


ローレンは、言い淀む様子を見せたが、俺が殺気をチクチクとぶつけてやると、更に汗を掻いて答えた。


「わ、私も知らない……。お金の流れは知っているけど、召喚の魔力コストをどうしているのかまでは……。」


「そう。調べようとは思わなかったの?どう考えてもおかしいのに。

それに、さっきの話だとアンタが仕事、全部やってんでしょ?

それなのにあんな大人しく従っちゃって……奴隷願望でもにでもあるの?」


誂うように尋ねると、ローレンは怯えながらもキッ!と俺を睨む。


「あの人は、あれでも街の発展には貢献してくれているし、何よりジョアンの父親なの。

ジョアンから父親を奪うなんて……。あの子のためにも、私さえ……私さえ我慢すれば……。」


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