表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第三章【半年後の三人の話編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/91

(セレン)66 セレンの気持ち

(セレン)


「俺は共有の物資を買っておくから、お前たちはそれで好きなモンを買って来ていいぞ。

買い物終わったら帰ってこいよ〜。」


自分の手には数枚の金貨。

これ一枚で、それこそ平民の半年分以上という大金に手が震える。


「────えっ!こ、こんなに貰えません!」


「ラッキー。何買おうかな。」


当たり前だが貰えないと口にする私とは違い、忠誠心の欠片もない事を言い出すアッシュを睨んだ。


現在私は、ルークの護衛として雇って貰い、かなりの金額を給料としてもらっている。

それこそ、修行をさせてもらっているというのにだ。


更に、こんな臨時収入をもらうわけには……!


貰った金貨をギュッと握りしめながら、もう一度貰えない旨を説明しようと口を開こうとしたが、ルークは「じゃあ、解散〜!」と言って、さっさと行ってしまった。


「じゃあ、お言葉に甘えてエンジョイしようかな。」


アッシュはそのまま上機嫌で街へ向かい歩き出したので、私は忌々しさに舌打ちしながら、だいぶ距離を開けて同じく街へ歩き出す。


少しは遠慮を覚えろ!このワタボコリ男め!


背中に向かい悪態をつきながら、悶々といつまでも近づけない実力の差に歯ぎしりをした。



アッシュは、私がルークの護衛を務める事になった時、既にルークの家にいた護衛二号だ。

最初に出会った時は容赦なくボコボコにされたので、正直嫌な思いしかなかったが……ルークが受け入れるなら、悪人ではないと今では納得はしている────が!


「寝坊、ルーズ、不真面目、適当、ちゃっかり……とにかく全部が真逆過ぎて、ストレスが溜まる。普段なら、まず絶対に近づかない性格だ。」


ムスッ!としながら、普段の様子を思い出し……この半年間どうしようもない嘘に踊らされた日々を思い出した。


「……嘘ばかり言って、あのホラ吹き男め。

攻撃も性格同様、沢山のフェイクを入れてくるから、うっかり騙されてしまう。────くっ!いつか倒してみせるからな、覚えてろ。」


レイピアの柄の部分を強く握りしめ、打倒アッシュを心に誓った。


そうして街に到着後は、孤児院の子どもたちへ必要な物資の調達やシスター達のお土産を見つけながら、出店を歩いていると、街の人達にちょくちょく話しかけられる。


「あら〜セレンちゃん!珍しいわね〜買い物?」


「孤児院への寄付かしら?ウチからも細やかながら果物の差し入れをさせて貰ったから、セレンちゃんも食べに行ってね。」


あの【ヘビネロ商会】の一件以来、こうして街の人達は気さくに話しかけてくれる様になった。

それには私個人の頑張りを認めてくれたという事もあるが、大半はルークのお陰だ。

今でもルークとの出会いを思い出すと胸が熱くなる。


「……ハァ。」


熱くなっていく体を自覚し、胸をポンポンと叩いて、その熱さを吹き飛ばした。


自分の進みたい道を邪魔する全てをふっとばしてくれた人。

お陰で今は本当に進みたい道へと歩けているから、本当にルークには感謝している。

思い出の中のルークはキラキラと輝いていて、その一つ一つを思い出すだけで苦しくなる気がした。。


「……うぅ〜…………。」


早鳴りする心臓を抑えていると、話しかけてきたおばさんの一人が、ニヤニヤと大きく弧を描く様な目で笑う。


「ルーク様は、減税や街の美化対策をしてくださっているから、本当に凄い方よね〜。

若い女性は、ワンチャン在るかも!って狙っている子たちが多いらしいわよ〜?

ただお貴族様だから、愛人にはなっちゃうかもしれないけど、皆それでいいって。」


「────なっ!そ、そうなんですか……。」


ドキーン!!

今度は、痛いくらいに大きく心臓が跳ねた。

思わず胸を握りつぶす様に抑えると、横にいた他のおばさんまでその話に参戦する。


「あぁ〜私も後20歳くらい若かったらねぇ!立候補したのに。

それとルーク様の護衛のアッシュ様も、本当に眼福だわ〜。カッコいい!

彼、とにかくイケメンじゃない?

あんなに綺麗な顔をしている男の人、世の中にいるのね〜。

セレンちゃんも、毎日ドキドキしちゃうんじゃない?あんなイケメンとお仕事しているなんて!」


「いえ、それは全然ないですね。」


ドキドキしていたい胸は、恐ろしい程静かになって、それと同時に表情も消えた。

おばさんたちは不思議そうな顔をしていたが、あんな狂人がカッコいいなどとは思わない。

本当にカッコいいのは……。


────モヤモヤ〜……!


頭の中に浮かぶのは、とてもよく見知った人物で、慌てて頭の上に浮かんだ妄想を手をパタパタと振って蹴散らす。

それだけでは足りずモヤモヤする頭を横に振って気を紛らわせた瞬間、パッ!と目に入ってきたのは、お店に置いてある大きな赤いリボン型のバレッタだった。

それを見て、つい最近孤児院へ行った時の事が頭に浮かぶ。


◇◇

「セレン!あんた、修行もいいけど、それ以外の時間を使って少しはお洒落してみなさいよ。」


「そうよそうよ〜。せっかく可愛い顔をしているんだから。」


孤児院へ物資を持って行くと、必ずこうしてシスター達に絡まれるようになった。

目を三日月にしている事から誂う気満々な事は分かっていたので、軽くあしらっていたのだが、とにかく毎回しつこい。

そのため私はハァ……と大きなため息をついて言った。


「そんな時間はないので……。それに戦いには不要なモノですし。」


「も〜!本当に頑固な子なんだから!」


ペチンッ!とデコピンを喰らい、汗を流す私を見て、シスター達はクシを持ってきて、私の髪をとかし始める。


「本当はサラサラの髪なのにぃ〜……。まぁ、セレンがやりたい事を邪魔するつもりはないのよ?

でも、やっぱりせっかく女の子に生まれたんだから、それも多少は楽しんでおけばいいわ。」


「そうそう!別に両方楽しんだっていいじゃない。強くて可愛い!なんて、最高にカッコいいし〜。」


「は、はぁ……。そういうモノでしょうか?」


ペラペラとそう力説されて、そういうモノかな?と考えていると、髪をとかし終わったシスターが「よしっ!」と満足気に頷いた。


「いい?セレン。本当にいい女ってやつは、全部頑張る人よ!

修行もお洒落も、恋愛も仕事も……とにかく全部頑張って貪欲に手に入れようとする人!

勿論他の人を蹴落としたりして手に入れちゃ駄目。

ただ純粋に努力する。そんな姿に、男は惹かれてくるでしょう!」


「?はい……。」


本職のシスター力を駆使した力説に圧倒され、とりあえず賛同の意を示すと、シスター達は一斉にニコ〜!と笑う。


「狙った獲物は逃がしちゃ駄目よ!それには外見だって頑張って磨かなきゃ!」


「そうよそうよ〜。最近ルーク様のお陰で、質が良くて可愛い服やアクセサリーが沢山売っているんだから、少しはそっちにお金使いなさいね!」


「セレンは欲がなさすぎ〜。ほら、これで今日は少し勉強しよう!」


一人のシスターが取り出したのは、新発売の服やアクセサリーの写真絵達だ。

それを見てはキャーキャー言い出すシスター達に『精霊神の御使いがこれでいいのか……?』と心配になった。


「……全く。」


呆れてため息がでたが、『本当にいい女は、全部頑張る人よ!』という言葉に多少引っ掛かりを覚え、少し考え込んでしまう。


ルークもそんな女性が好き……なんだろうか?


またしても大きく心臓が跳ね、その直後はモヤモヤと心の中を覆ったが────足元に飛んできた一枚の写真絵のせいで、意識はそちらへ向いた。

そこに写っているのは、華奢で可愛らしい女の子。 

フリフリの可愛らしい洋服を着て、更に頭には大きな青いリボン型のバレッタを付けている。


「……可愛いか…………。」


ついボソッと呟くと、それを目ざとく聞いていたシスター達が目を輝かせて顔を近づけてきた。


「あらあらあらあら〜!セレンはこういうのが好きなの!?お目が高いわ〜ん。

コレ、今年流行ってる髪留めなのよ。」


「可愛いわよね〜。こんな可愛いんだもん、男の人は皆好きよ〜。」


「……男の人は皆好き…………。」


キャイキャイと騒ぐシスター達には目もくれず、私の視線はリボン型のバレッタに釘付けだ。


……ルークも好きかも?


フッ!と過った邪念を、勢いよく首を横に振って払う。


何を馬鹿な……。

私は強くなりたい!よってこんなモノにうつつを抜かしては駄目だ!


私はプイッ!その写真絵から顔を逸らすと、そのままシスターにそれを返して、そのまま家に帰った。


◇◇

「……全く、私としたことが。」


再びモヤつく気持ちを払いながら、おばさんたちに頭を下げて次の出店へと進む。

子供たちの絵本、おもちゃ、皆で食べれる美味しい物……。

ふむふむと色々吟味しながら選んでいくと────出店は女性が好むアイテム売り場へ変わっていった。


「……ここから先は、特に見るものはなさそうだ。」


そう判断して、早々に立ち去ろうとしたのだが、突然ある物が目に入り、ピタリと足を止める。


赤い色の大きなリボン型のバレッタ。

それが見ろとばかりに出店の中央に置かれている。


「…………。」


ウロウロ……。────ウロウロウロ〜!


なんとなく、そのリボンの周りで行ったり来たりを繰り返していると、店の店主が「……どうぞ手にとって──。。」と言ってきたが、ブンブンと首を横に振った。


別に私は買うつもりはない。

ただ、ルークは赤が一番好きだと言っていたなと唐突に思い出しただけ!


モヤモヤ……。────モヤモヤ〜!!


『やっぱり赤だな、赤!なんか主役って感じがするんだよな〜!』


そう言って笑っていたルーク。

その隣で「血の色ってイメージしかないんだけど……。」と失礼極まりない事を言っていたアッシュは記憶から除外し、ルークの笑顔だけがクローズUPする。

そして赤いリボンのバレッタをつけた私を見て、『おっ!セレン、赤いリボンいいじゃないか!強そうだぞ!』と言ってくれて────……。


ホワワ〜ン……。


ついついそんな妄想にふけっていると、店主の「買います?」という言葉にハッ!と我に返り、そそくさとその場を離れていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ